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分類②

アルバくんの泥団子

分類①は、数学の出発点は分類である、という話でした。
そんなの簡単だと思うでしょうか?
しかし意外と大人でも答えられなかったりするものです。

時は19世紀。アルバという男の子がいました。
彼は「1+1=2」になることが納得できず、教師に質問しました。
泥団子と泥団子をぐしゃっとくっつけて、「ほら、1+1=1でしょ?」と言ったのです。
この問いかけに教師は答えられず、彼を学校から追い出してしまいました。

さて、あなたはアルバくんの疑問に、答えることができるでしょうか。
あるいは、あなた自身がアルバくんと同じ疑問を抱いているかもしれません。

この問いかけは数学の重要なポイントに迫っています。


「1+1=2」というのは、計算としては簡単ですが、理論としては高度な内容を含みます。
アルバくんは計算の仕方を知りたかったのではなく、理屈を知りたかったのです。


順を追って解きましょう。まずは、アルバくんの用意した泥団子に注目します。
最初に持ってきた泥団子と、それらをくっつけた泥団子は、「同じ」でしょうか。
「個数」は同じでも、くっつけた分だけ大きくなっているはずですね。

そして最初の泥団子も、だいたい同じ大きさでも、厳密には重さが違いますよね。
重さまでまったく同じ泥団子なんて、最新の科学技術でも作るのは難しいでしょう。

「1+1=2」という式に出てくる、「1」や「2」は、何のことなのか。
個数なのか、体積なのか、質量なのか。

何を「同じ」とするか。
何を「違う」とするか。
どこまで厳密に考えるか。

数学における「分類」とは、こうしたことを考えていきます。

 

例えば、時計の針が同じ場所を指していても、「午前」なのか「午後」なのかで、違う時刻として扱いますよね。
ケーキを食べるときに、原子1個まで厳密に等分する必要はありませんが、素粒子力学では原子よりも細かい粒子1個1個を丁寧に見ていきます。

「15」と「27」は違う数ですが、「12で割った余り」は同じです。
2次方程式や2次間数の判別式は、「プラス」「ゼロ」「マイナス」だけで考えます。


アルバくんは大人になってから、多くの発明を残しました。
彼のフルネームは、トーマス・アルバ・エジソン。20世紀の発明王と呼ばれた人物です。
今や文明社会に欠かせない「電球」は、彼が発明しました。

ちょっと残念な話としては、発明王となったエジソンは、若い科学者の新しい発想を否定し、追放してしまったことがあります。
かつて彼を追い出した教師と、同じことをやってしまったのです。

追放された若い科学者の名前は、ニコラ・テスラ。
磁力の単位として使われている「テスラ」は、この人から取っています。
彼の新しい発想「交流(電流)」も、現代の文明社会に欠かせません。

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